いけばなをするということは、陶磁器とのお付き合いが不可欠です。そして、いくら気を付けていても、花器を割ってしまったり、欠けができてしまったり、そのような体験はだれしもがお持ちのことと思います。そのような折、いままでは、接着剤で貼り付けてから、水漏れ防止材(液体)を使っていました。うまくいくものと、どうしても水漏れしてしまうものと、結果はその時によって違いました。それでも、金継ぎをすることは思いもよらないことでした。それは茶道の世界のこと、あるいは、敷居が高いと思っていたのかもしれません。
今回の金継ぎ体験教室は妹達からもらった「体験型ギフト」の中にあった一つのコースでした。それを見て花器を金継ぎで修復してみようと思い立ったのです。しかも、コースの説明には「天然漆を使わず、エポキシ接着剤を使った『なんちゃって金継ぎ』で、金継ぎの行程を一通り学べる」と書いてありました。自称「なんちゃって」とは、なんと潔いことでしょう!! 高価な花器ならばいざ知らず、お稽古用の花器ならば十分だと思いました。
当日は割れた花器を持参し、下記の手順を丁寧に教えていただきました。
(1) 割れた部分の接着 (どのピースから接着するか)
(2) 接着した部分をナイフで削る
(3) 欠けた部分の修復の仕方
(4) 接着部分にヤスリをかけて滑らかにする
(5) 漆塗料に真鍮の粉をとかしたものを加飾し、仕上げる
一番難しかったのは、漆塗料を加飾することです。今まで美術館で金継ぎされたお茶碗をいくつも見てきましたが、割れ目に沿って漆塗料を塗ることがこんなに難しいとは思ってもみませんでした。しかも、その継ぎ目によって器の表情が変わってくるのです。ただ、使えなくなった花器を使えるようにするだけでなく、金継ぎ部分が模様にもなり、生まれ変わるかのようでした。こんど、美術館で金継ぎをしたお茶碗を見つけたら、その継ぎ目をまじまじと拝見することでしょう。お茶碗の継ぎ目には何らかの意匠さえ含むのかもしれないと思いました。
初めての金継ぎ体験は、思ってもいないことを感じた体験となりました。
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