自然教育園の植物も、すでに夏に疲れているかの様子でした。植物園全体が鬱蒼として暗かったです。常緑樹が生い茂った結果といえば、それまでのことなのですが、ムサシアブミの大きく育った葉はぐったりとして、かつての勢いはなく、先月咲き誇っていたヤマユリは朽ち果てておりました。夏は植物も生き生きとしているのではと思いきや、植物にもそれぞれの夏があるのだと知りました。
それでも、元気な植物はいます。まず、キツネノカミソリ。数年前の春、多摩森林科学園の斜面に葉が繁茂しているのを見たことがあり、どのような花が咲くのかと思っていたのですが、夏の植物園に来なければ、見ることができないことを今回知りました。(頑張って来てよかった!)自然教育園の中でも日陰の平らな地に、葉のない状態でオレンジ色の花をたくさん付けて群生していました。キツネノカミソリは名前からは想像できないヒガンバナ科です。ヒガンバナは禁忌の花。道理で、いけばなでも見たことがないわけです。
キツネノカミソリが生育している地は、他に目立った植物がない広い土地です。たぶん、草取り(?!この言葉が自然教育園において正しいかどうかはわかりません)がなされているのだと思います。ちなみに、この広大な自然教育園を管理している方は、たった3人で、過日お話させていただいた方が、イネ科の植物と棘のある植物は展示植物の生育を妨げるので、抜くとおっしゃっていました。気の遠くなるようなお話だと思いました。この文章の最初に「鬱蒼とした」という表現を使いましたが、しっかり管理されているのです。
さて、地味目な植物としては、いろどりはありませんがモミジガサが花期を迎えて群生していました。ヤブレガサほど葉が大きくありません。また、オトコエシやキンミズヒキも咲き始め、これらを秋草として生けたならば、涼をよぶことでしょう。千両がすでにお正月の準備を始めておりました。次回来るときには、もう少し過ごしやすいことでしょう。
キツネノカミソリ
モミジガサ
メハジキ
オトコエシ
キンミズヒキ
ノシランの蕾
コバギボウシ
センリョウ
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