今年のお正月、毎月一回は何かの展覧会に行こうという目標を立てたのにもかかわらず、この目標は達成されていないと感じつつ過ごしておりました。それを挽回すべく、お盆休みに展覧会の梯子をしようと思い立ちました。
さて、何を見に行こうかと思っていた折に、BS3で『果てしなき絶景 マティスの旅』という番組をたまたま見ました。その中で、マティスがモロッコの「青く塗られた町」を訪れて、「青」に目覚めた⁈という内容があり、その町を自分が40~50年も前に訪ねたことを思い出したのです。同時に『え‼ マティスが「青」?!』という思いにも駆られました。なぜなら、私の中でのマティスの印象は『ダンス』『赤のハーモニー』などの作品のせいか「赤」のイメージが強かったからです。そこで、マティスの「青」を見に行こうと決めました。
かつては印象派などの展覧会にも行きましたが、どちらかと言えば、フラ・アンジェリコやラファエロなど、ルネッサンス期の宗教画の方が好みでしたし、昨今は日本の伝統文化に偏っていますので、マティスを見に行こうと思ったことは自分でも想定外でした。
マティス展に行くと、ありました。美しい青いマティスの絵画が。私のマティスのイメージが一気に「青」へと変わる瞬間でした。美しい青の絵ばかりが目に入ってきます。よく鑑賞すれば、鮮やかな赤の絵の中にも美しい青があり、さすが「色彩の魔術師」と謳われたマティス。鮮明な色、線、そして、形に魅了されました。
マティスが最晩年に手掛けた南仏・ヴァンスのロザリオ礼拝堂の映像では、移ろいゆく光が、青と黄のステンドグラスを通して、刻々と礼拝堂を染めてゆきます。とても優しい光ではありますが、マティスが色と線、そして、光をも計算しつくして生んだ美しさです。それは美しいという言葉では、もはや形容しがたく、感動とも呼べるものでした。マティスという画家の大いなる人生を感じた一日となりました。
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画像出典
①『黄色と青の室内』 ポストカード
②『金魚鉢のある室内』 ポストカード
③『タンジールの窓』 ネット美術館
④ Expedia
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