今年の私の作品は、昨年の盛物とは打って変わったものとなりました。(昨年の盛物のことは、遅ればせながら別のブログで書きたいと思います。)
まず、選んだのは、鳥居一峯作の籠です。これは、かなり前に京橋のギャラリーで気に入って求めたもので、形はオーソドックスですが、網目がとても繊細なものです。その繊細さに合わせて、軽やかに生けたいと思いました。
花材は、ドウダンツツジとクリスマスローズ。ドウダンツツジは新緑の季節にふさわしいみずみずしい緑。そして、とても大きな枝でしたが、籠に合うようにバランスを考え、ボリュームを落とし、また、交差している枝や葉の裏が見えるものを省略して、軽やかに仕上げました。
クリスマスローズは、お家で育てている方は、最も美しい時期を過ぎると、花弁がうすい黄緑色になるのをご存じだと思います。花材のクリスマスローズも、おしべもめしべも散った後、盛りを過ぎたものでした。その黄緑色がドウダンツツジの緑とグラデーションになって、出来上がった作品です。移りゆく季節を表現した、静かな作品になりましたでしょうか。
山村御流では「花は野にあるように」と申しておりますように、あるがままの自然をうつしとることを大切にしております。どこかのお庭のドウダンツツジの木の下に、盛りを過ぎたクリスマスローズが佇んでいる姿を思い浮かべていただけたら、幸いでございます。
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