出光美術館で開催されている「青磁」を見にいって参りました。
青磁は格の高い気品に満ちたうつわ。やはり、興味は花器が中心となりますが、どのようなうつわに出逢えるのか本当に楽しみでした。
会場に入るや否や、これも青磁???と思うような、様々な色のうつわに飲み込まれました。若草色、碧緑色、天青色、橄欖(かんらん)色などなど、作られた場所(窯)や時代、さらには、個々の土の色や釉薬の色によって多様な世界が展開されており、「青磁」という一語で括ってよいのかと思ったほどです。茶道具などの展覧会で見慣れてきた「青磁」とは別物と言わざるを得ないものもありましたが、翻って考えてみれば、茶道具として使われてきた「青磁」がいかに茶道に関わってこられた方々によって厳選され、洗練されたものであったかを知ることになりました。
東山御物だった「青磁筒花瓶 銘 大内筒」は、南宋時代(12世紀)に龍泉窯で作られた高さ18センチ、口径8センチほどのシンプルな筒形の瓶です。裏側の口縁下には孔が開けられ、鐶をつけると掛花生として使えるようになっています。唐物の青磁は、もちろん「真」のお品。それに対して、掛花はどちらかというと「草」の花とされていた時代に、いったい足利将軍家ではどのような花を生けられたのでしょう。私でしたら、しだれ梅にやさしい葉ものを添える。あるいは、松に薔薇……。恐れ多くも妄想してしまいました。
2022年にも岡田美術館の特集展示で「中国の青磁」を拝見しましたが、その時から、五代~北宋時代、北方の耀洲窯で作られた青磁に魅せられています。それは、日本でお馴染みの龍泉窯で焼かれた、シンプルな造形とつややかな、いわゆる、青磁色のうつわではなく、オリーブ色に近い色をしており、片切り彫りで牡丹などの花の文様が彫られています。彫りの具合によって、釉の掛かりがグラデーションをなすのがとても美しいと思っています。今回もそれに出逢うことができて感無量でした。
「青磁筒花瓶 銘 大内筒」
「青磁刻花牡丹唐草文水注」
図版出典
文化遺産オンライン「青磁筒花瓶 銘 大内筒」 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/224669
出光美術館 ポストカード「青磁刻花牡丹唐草文水注」
Comments